防衛反応と育った環境の関係とは?生きづらさを生む“無意識の思い込み”をほどくヒント

つい繰り返してしまう“生き方のクセ”はありませんか。
気づけば同じ行動パターンを取ってしまうような、
変えたいのに、変わらない生き方のクセです。
『私が私を助けに行く』(橋本翔太著)では、防衛反応を「育った環境で身につけたもの」として説明しています。
この視点に触れると、自分の生き方のクセを見直す手がかりが見えてきます。
そこから、生きづらさを少しずつ解消するヒントを探していきましょう。
人の行動を決める“2つの原理”
人は、生き延びるために行動を選びます。
意識しているときもあれば、無意識のうちに選んでいることもあります。
その軸になるのは大きく分けて二つ。
- 何かを得る(プラスを得る)
- 損失を避ける(マイナスを回避する)
そして実際には、
プラスを得ることよりもマイナスを避ける行動のほうが、より強く働きます。
人は本能的に、損をしないように行動を優先するのです。
そして、人が本能的に損失を避けようとするこの性質は、
自分を守るという防衛反応のはたらきと深く結びついています。
防衛反応の3つの特徴

防衛反応を知ろう
防衛反応とは、心がこれ以上傷つかないように守ってくれる仕組みです。
- 心が傷つかないように、自分を守る
- 無意識のうちに習慣化していることが多い
- 子どもの頃の環境や経験がきっかけで形づくられる
防衛反応の三つの特徴
そして、防衛反応には三つの特徴が見られます。
- 心配性
- 「自分は弱いかもしれない」という不安から、常に身構えてしまい、行動が制限されやすくなります。
- 不器用
- 子どもの頃に身についた反応をそのまま使い続けるため、状況に合わないときでも同じパターンを繰り返しがちです。
- 極端
- 傷つかないように守ろうとする気持ちが強すぎて、小さな出来事にも過剰に反応してしまいます。
突き詰めると、その根底には「自分に対する無意識の思い込み」が潜んでいます。
そして、その思い込みを形づくった要因のひとつが、育った環境なのです。
育った環境と防御反応の関係
家族の中での立ち位置が与える影響
家庭の中で担った役割は、その後の社会での立ち位置に影響を与えます。
たとえば、
- 家族の中で調整役だった人は、外でも気をつかう役回りになりやすい
- 逆に甘えられる立場だった人は、外でも助けを求めやすい
このように、家庭内で「どんな立ち位置だったか」が、そのまま自分の行動パターンにつながることがあります。
幼いころの経験がつくる「幼い自分自身」
そしてさらに、防衛反応は、
必要に迫られて、幼い頃の自分が生み出したもうひとりの「幼い自分自身」でもあるのです。
『私が私を助けに行く』(橋本翔太・サンマーク出版、2024年)
たとえば、行動すると怒られる、しゃべると否定される。
そんな体験を重ねるうちに、
「これ以上傷つかないように」と防衛反応が形づくられます。
自分がどんな状況でその防衛反応を必要としていたのかを知ること。
まさにそこに、生き方のクセに向き合い、生きづらさを和らげるための大切なヒントになるのです。
日常に現れる防衛反応のパターン
防衛反応は、日常の中でいろいろな形で現れます。
例えば、
- つい怒りっぽくなってしまう
- 言いたいことをぐっと飲み込んでしまう
- 新しいことに挑戦できず、途中であきらめてしまう
- 人にどう思われるかが気になって仕方ない
- 注意されると、必要以上に反応してしまう
- 自分の意見よりも、誰かの意見を優先してしまう
こうした生き方のクセは、一見「弱さ」に見えるかもしれませんが、実は心を守るための安全装置でもあるのです。
防衛反応に気づいたらどうする?

そして、このような防衛反応に気づいたら、
「なぜ自分はそうしてしまうのか?」と、じっくり自分と対話してみることが大切です。
無意識のうちに身につけたパターンの背景には、必ず理由があります。
その根本にある思い込みや経験を知ることで、
今の自分に合ったスタイルへと少しずつ変えていくことができるのです。
つまり、自分を知り、自分に合った方法に修正していくこと、
それこそが、生きづらさを和らげる大事なステップなのです。
無意識の思い込みをやさしくほぐす方法
防衛反応に気づいたときは、こんなふうに自分に問いかけてみましょう。
- どうして私は、この場面で怒りや不安を感じるのだろう?
- それは、幼いころのどんな経験と結びついているのだろう?
- 今の自分には、同じ反応が本当に必要だろうか?
こうした小さな対話を重ねることで、無意識の思い込みを少しずつほぐし、
今の自分に合った行動へと変えていくことができます。
自分を守ってきた防衛反応に感謝しながら、それをやさしい形に変える。
その積み重ねが「生きやすさ」への大切な一歩になるのです。
防衛反応の連鎖をほどくために
育った環境がもたらす影響
育った環境は、私たちの生き方に少なからず影響を与えています。
そこには、好きと思える部分もあれば、思い出すのがつらい部分もあります。
そのどちらも、無意識のうちに自分の生き方として刻み込まれていることが少なくありません。
そして、育った環境で身についた反応や価値観は、親から子へと連鎖していくこともあります。
それは「誰が悪い」と単純に片づけられるものではなく、世代を超えて受け継がれてしまう自然な流れでもあるのです。
今できる大事なこと
だからこそ大事なのは、
「今の自分はどうしたいのか」 を丁寧に見つめ、無意識の自分と対話していくこと。
その小さな対話の積み重ねが、防衛反応の連鎖をやさしくほどき、
より生きやすい自分を形づくるきっかけになるのです。